scene
ざらついていた
ラジオの軽快な音が響いてきた
長いトンネルの先
視界が急に広く開ける
朝の光は純度が高い光線のように
白く淡い
瞳孔が収縮を何度か繰り返すと
やがて輪郭がはっきりしてくる
フロントガラスのフレームに
真っ直ぐに伸びる橋と空と海
車は勾配を少しづつ上がっている
青い情景は一定の間隔で流れてゆく
このまま空まで行けそうだ
この感覚
キーウエストの橋を思い出す
ヘミングウェイの生家、6本指のネコ、陽気なキューバ人
記憶の断片
でも繋がらない
フロリダではなく、その先にあるのは木更津
もうすぐそこだ